
「今後住宅業界はどのようになっていくのでしょうか」と話しかけてこられる方がたくさんいます。そのたびに私は、「大きな方向は震災前となにも変わりませんよ。ただ、これまで予想していたことが思っていたよりも速いスピードで現実化していくことは確かではないでしょうか。もう、待ったなしです」と答えています。もちろん、この震災・原発事故によって気づかされたこと、教えられたこともたくさんあります。今回の震災で何を教えられ、何が起ってきているのか、このコラムの最後に今一度考えてみたいと思います。
16年前の阪神・淡路大震災において私たちは、「耐震」ということの重要性をいやというほど思い知らされました。その後学校など、公共建築物の耐震検査、耐震補強が徹底的に行われました。住宅においては、いわゆる旧耐震基準による住宅の補強は国の目標には中々届いていないようですが。
今回の災害は、地震の直接的被害によって家が倒壊したとか、半壊したというケースはそれ程多くなく、それよりも「津波」による被害が圧倒的に大きかったのが特徴です。津波によって家を失った人達の生活の場の復興が大きなテーマです。
しかし今回は、これに輪をかけたのが「原発」の事故です。
今回はこの「津波」と「原発事故」によって、私たちはいろいろなことを教えられました。気づきました。<図ー1、2>はそのことを整理したものです。

<図ー1>は、これまで今後大きな問題として考えなくてはならないとされていた「エネルギー」「環境・CO2」の問題を早急に進めなければ住宅だけでなく、日本の様々な産業の先行きが成り立たなくなるというところにまで我々をおいやったということを表しています。まさに待ったなしの課題になっています。

<図ー2>は、今回の「津波」「原発」は、私たちに「住まい・暮らしのあり方を教えてくれた」というものです。つまり、人は地域、コミュニティの中で生きているということを教えてくれました。又、お互いに存在を確認しあいながら、助け合って生きているものだ、ということを確認させられた、ということを、この間の様々な出来事は教えてくれています。
今回の大震災、津波。原発事故は、上記のような日本全体の今後の課題を示してくれただけでなく、私たち住宅事業に携わっているものに、具体的に3つの課題を明確にしてくれたように思います。<図ー3>がそれです。

この課題は、決して今回初めて明らかになったわけではありません。この何年間もずっと言われ続けていたことだろうと思います。
エネルギーの問題、CO2の問題については、これまで、ともすると、地域工務店の皆さんは、具体的にどのように取り組めばいいのかということについてよく見えなかった方も多かったようです。お客様に、「当社はこのようにしてCO2問題に取り組んでいます」と中々言えない、というのが今でも現実だという会社は多いと思います。しかし、今回のことによって、そのことにモラトリアムになっていることは許されなくなってしまいました。いきなり「スマートハウス」づくりということにまでいかなくても、「省エネ・創エネ」「CO2削減・固定化」など、取り組めるものから具体的に着手しください。
環境、エネルギー、CO2などへの取り組みは今後逃れられませんが、それだけではもはや他の住宅会社との差別化にはなりません。どの会社も必須なのです。これらに対応できていない会社は最初から土俵に上がれなくなるのです。
これらの課題への対応は、当たり前になっていくのです。いわば、供給者側の「インフラ的要素」なのです。
このインフラ的要素にプラスする形で、2つの要素が重要になります。
これは、このコラムの第6回で、お客様をインタビューしたお話を書きましたが、今地域の工務店を選んでいるお客様が工務店を一番評価しているのは、そのカスタム対応力なのです。大手ハウスメーカーでは聞いてもらえなかった細かな家づくりの対応力、設計力です。
さらに、ただお客さまの希望に沿う対応力だけでなく、「くらし」「住まい」そして「地域」などに対するその会社の経営者の考え方、価値感、姿勢などが明確になっているか、そのことがお客様に見えるかたちになっているか、ということが非常に重要です。
最後に、あなたの会社のよさをどのようにお客様に伝えるのか、ということについて、私がこの間いろいろな工務店様にご提案してきた「らしさブック」というものをご紹介します。あなたの地域で、あなたの会社だけが持っている「らしさ」を明確にして、お客様にお伝えするための本です。と言っても本格的な本というわけではありません。あくまでもPR本なのです。以下にどのようなものなのか、どのようにして作成するかをご案内します。
それぞれの会社の「らしさ」にもよりますが、概ね以下のような内容を考えてください。
このブックの第一の目的は、お客様に、会社のこと、事業内容と特徴、仕事の進め方などについて、これを見ていただければ全てわかるというものにしよう、ということです。
しかし、お金をかけた立派なものである必要はないと考えます。気軽に手渡せて、気軽に読めるものがいいと思います。
具体的には、
とにかく使いやすく、呼んでももらいやすいものにすることです。ただし、内容はしっかりしたものでなければいけません。
「らしさブック」の具体的な作成は、概ね以下のようなステップで作成されます。
社内ではなく、社外の専門家と一緒に作成することをお勧めします。プロの客観的視点がないと、様々な方への対応ができないものになる可能性があります。





